2017年12月1日から美容医療がクーリングオフ・途中解約の対象に

美容医療がクーリングオフ・中途解約の対象に

2017年12月1日より、一部の美容医療がクーリングオフ・途中解約できる対象となりました。これは特定商取引法の改定が施行されたことによります。

対象となるのはこちらの美容外科や歯のホワイトニングなど5分野です。

  1. 脱毛
  2. にきび・しみ・そばかす・ほくろ等の除去
  3. 肌のしわ・たるみ取り
  4. 脂肪の溶解
  5. 歯の漂白

また、施術期間(契約期間)が1か月以上、かつ料金が合計5万円以上に限ります。これらの条件に当てはまる場合は、本日施行された改正特定商取引法の特定継続的役務提供に該当し、規制の対象となります。具体的な事例の一般解釈に関する情報は、消費者庁の特定継続的役務提供(美容医療分野)Q&A (リンク先はpdfファイル)にあります。

以上の条件を満たす場合は、美容医療の正式契約を交わした場合でも8日以内であれば無条件で解約(クーリングオフ)することが可能です。さらに契約から8日を過ぎた場合でも、契約期間の途中で解約することができ、未施術分の料金を払う必要がありません。

美容医療のクーリングオフ・途中解約が可能に

医療機関側は契約内容を記載した契約書類(法定書面)を交付する義務があります。お客さんに書面を見せるだけでなく渡さなければなりません。クーリングオフの期間は契約書類を交付してから8日間ですので、交付しない限りクーリングオフの期間が続く可能性が高く、注意が必要です。

もし、まだ特定商取引法に基づく契約書類を準備していない場合は、弁護士さんに作成してもらいましょう。医療分野を得意としている弁護士さんでしたら、すでに雛形を作成しているところもあるかと思います。

このブログを読まれている人のなかには、実際に美容外科・審美歯科などでトラブルになった方もいるかも知れません。もしトラブルに合われた場合は各自治体の消費生活センター にご相談ください。あるいは局番なしの 188 に電話すると消費者ホットラインにつながり、お近くの消費生活相談窓口を紹介してもらえます。

消費者ホットライン188

画像:国民生活センターHPより

このような法律改正があった背景にはレーザー脱毛や審美歯科など美容医療におけるトラブルの増加があります。緊急性を伴わない施術にもかかわらず、美容クリニック側が強引に契約を急がせたり、サービス内容が適切に説明されなかったり、悪質なケースでは虚偽や誇大広告を行うなどが問題になっていました。またレーザー脱毛では法律上、医師あるいは医師から指示を受けた看護師しか施術を行うことができませんが、無資格の人がレーザー脱毛を行って逮捕されたケースもあります。

国民生活センターには2013年以降、毎年2000件以上の美容医療サービスに関する相談が寄せられています。そのうちの50%以上が販売方法や広告に関する相談です [ 国民生活センターHPより ] 。来年6月から医療機関のホームページにも罰則付きの規制が施行予定なのも、美容医療のトラブルを受けての措置です [ クリニックのホームページ監視が開始・狙われる診療科は?] 。

自由診療の対象となる美容医療分野は競合クリニックとの競争が激しく、違法ではなくてもある程度強引な契約や誇張したような広告を行わなければ経営が続かない環境にありました。今回美容医療の一部がクーリングオフの対象となったのは、このような環境を改善する第一歩だと思いますが、今後は更にフェアな競争ができるようになることを望みます。