医療機関HPのビフォーアフター写真は掲載可能 – 2018年6月1日から|医療広告ガイドラインより

 

美容医療HPのビフォーアフター写真は掲載可能 - 2018年6月1日から|医療広告ガイドラインより

今回のブログ記事では、美容医療のホームページなどでよく見られる比較写真、いわゆるビフォーアフター写真の掲載方法について解説します。今回の法改正によってビフォーアフター写真の掲載が決して禁止された訳ではありません。

本記事の要点

  • ・以下3つのルールに従えば、クリニックや病院ホームページへの比較写真は掲載可能
  • ・ルール1:写真の加工・修正・術前術後で条件の異なる撮影は不可
  • ・ルール2:通常必要とされる治療内容、費用、リスク、副作用の記載が必須
  • ・ルール3:必須情報の掲載は患者にとって分かりやすい場所や文字サイズで行うこと
  • ・テレビCM、ポスティング・折込チラシ、屋外の看板への比較写真掲載は不可

1. 今回の法改正について

厚生労働省は2018年5月8日に、新しい医療広告ガイドラインを公表しました。これは同日交付・6月1日施行の改正省令・改正告示のガイドラインになります。

医療法における病院等の広告規制について – 厚生労働省ホームページより

医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)等について(通知)(医政発0508第1号 平成30年5月8日)の掲載 – 厚生労働省ホームページより(リンク先はpdfファイル)

今まで、医療機関のホームページは医療法の広告から除外されていましたが、6月1日に施行される改正法では広告となり、違反すると是正命令や罰則を科される可能性があります。

2. 病院HPへのビフォーアフター写真の掲載は規制・禁止されていない

上の要点にまとめた通り、医療機関ホームページへのビフォーアフター写真掲載は決して禁止された訳ではありません。これから説明するようにルールに従えば掲載可能ですし、そのルールはとても単純で手間のかからないものです。

2.1 改正法での文章

今回の改正法で、ビフォーアフター写真に関わる文章はこちらです。

治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告をしてはならないこと。(省令第1条の9第2号より)

2.2 ガイドラインでの説明

この箇所について、ガイドラインでは次のように説明しています。

省令第1条の9第2号に規定する「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等を広告をしてはならないこと」とは、いわゆるビフォーアフター写真等を意味するものであるが、個々の患者の状態等により当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療に関する広告としては認められないものであること。(ガイドライン第3-1-(6)より)

2.3 虚偽広告・過大広告となるケース

説明文中の「誤認させるおそれがある写真等」について、虚偽広告・過大広告として具体的に記しています。まず、効果があるかのように見せるための写真の加工・修正は虚偽広告として禁止されています。当然ですよね。

あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等については、虚偽広告として取り扱うべきであること。(ガイドライン第3-1-(2)より)

そして撮影条件をビフォーアフターで変えることも認められていません。例えば、美白施術でビフォー写真がアフターに比べて背景も暗かったり、患者の表情をあからさまに変えることは誇大広告となり得ます。

撮影条件や被写体の状態を変えるなどして撮影した術前術後の写真等をウェブサイトに掲載し、その効果又は有効性を強調することは、国民や患者を誤認させ、不当に誘引するおそれがあることから、そうした写真等については誇大広告として扱うべきである。(ガイドライン第3-1-(4)より)

おそらくこれら虚偽広告と過大広告に関しては常識的に考えれば分かるかと思います。注意すべきは次に挙げる必須の掲載事項です。

2.4 必須の掲載事項

ビフォーアフター写真には、次の通り必須の掲載事項があります。これらの項目すべてを掲載する必要があります。

  • ・通常必要とされる治療内容
  • ・費用等に関する事項
  • ・治療等の主なリスク
  • ・副作用等

術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合についてはこれに当たらないものであること。(ガイドライン第3-1-(6)より)

2.5 必須事項を掲載する際の注意点

これら必須項目が患者さんにとって不利益な情報であっても、分かりやすい場所に読みやすい文字サイズで掲載する必要があります。

さらに、当該情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこと。(ガイドライン第3-1-(6)より)

3. 折込チラシにはビフォーアフター写真を掲載できない

今回の法改正によって、医療広告の種類が大きく2種類に分けられました。

  • [1] テレビCM、新聞の折込チラシ、ポスティングチラシ、屋外の看板などのように、患者さんが受動的に目にする情報
  • [2] 医療機関のホームページや、患者側の問い合わせによって送られるパンフレットやメールマガジンなどのように、患者さんが自ら求めて入手する情報

これら2つのうち、ビフォーアフター写真が掲載できるのは[2]のみです。従って、テレビCMや折込チラシ、屋外看板には掲載できません。ガイドラインでは次のように記されています。

治療効果に関する事項は広告可能事項ではないため、第4に定める要件を満たした限定解除の対象でない場合については、術前術後の写真等については広告できない。(ガイドライン第3-1-(6)より)

意味がよく分からない文章ですよね。。順番に説明します。

[1]の患者が受動的に目にする情報には、広告可能な事項(いわゆるポジティブリスト)が限定されています。

一方、[2]のように患者さん自ら求めて入手する情報の場合には、ポジティブリストに挙げられている事項以外も掲載することが可能です。このことを限定解除と言っています。[2]であれば何でも掲載できる訳ではなく、掲載してはいけない事項(いわゆるネガティブリスト)が決められています。

改めて先ほどのガイドラインの文章を言い換えるとこのようになります。

  • ・[1]はポジティブリストに挙げられている事項のみ掲載可能
  • ・[2]はポジティブリスト事項以外でも決められたルール内で掲載が可能
  • ・ビフォーアフター写真はポジティブリストに挙げられていない
  • ・従って[1]にあてはまるテレビCMや折込チラシにビフォーアフター写真は掲載できない

分かりましたでしょうか。ややこしいですね。。

4. 判断に迷ったら各自治体の保健所へ

今回取り上げたビフォーアフター写真の掲載を含め、ホームページの広告規制は法律に関する事柄ですので、もちろん弁護士さんに相談してもいいでしょう。コンサルやホームページ制作会社に丸投げしても構わないと思います。

もしご自身で対応される場合は、各自治体の保健所に伺ってみてください。電話の場合は「医療広告ガイドラインについて教えてほしい」と言えば伝わるかと思います。個別事案についても教えてくれることになっています。

ビフォーアフター写真掲載についての適切かの判断は各自治体が行いますので、弁護士さんであっても最終的には自治体に伺うことになります。

5. チャンピオンデータ写真の掲載は可能か?

ビフォーアフター写真を都合よく加工・修正したり(虚偽広告)、都合よく撮影条件を変えたり(誇大広告)することは既述の通り禁止されています。

では、最も成績の良かった写真(いわゆるチャンピオンデータ)のみを選んで掲載してもいいのでしょうか?

このことに関して、医療広告ガイドラインにははっきりと書いてありません。都内3つの自治体の保健所に電話で伺いましたが、曖昧な回答しか返ってきませんでした。

おそらく今回の改正医療法の趣旨的には、チャンピオンデータと断らずに掲載してはいけないのでしょう。今後、このような曖昧な項目に関しては、各自治体から厚生労働省に情報が集まり、Q&Aが発表されるかと思われます。