ビフォーアフター写真を掲載する3つのルール|医療広告ガイドラインより

ビフォーアフター写真を掲載する3つのルール - 医療広告ガイドラインより

2024.04.03 2024年3月に公表されたウェブサイト等の事例解説書(第4版)に合わせて内容を修正しました。
2023.10.10 本記事の内容を2023年10月に改定されたウェブサイトの事例解説書(第3版)に合わせて修正しました。
2022.05.13 内容を大幅に更新しました。

術前術後写真、いわゆるビフォーアフター写真は医療広告ガイドラインにおいて広告禁止事項の1つとして挙げられています。このことが誤解を招いているようですが、決して全面禁止されている訳ではありません。

禁止されているのは "患者を誤認させるおそれがある" ビフォーアフター写真であり、以下の3つのルールを守ることで掲載できるようになります。

ビフォーアフター写真を掲載する3つのルール
  • ルール1:限定解除要件を満たす
  • ルール2:写真の加工・修正・術前術後で条件の異なる撮影を行わない
  • ルール3:症例ごとに治療内容、治療期間と回数、費用、リスクと副作用を記載する

※ 折込チラシ・屋外の看板・テレビCM・バナー広告などは、限定解除要件を満たすことができないので広告できません

ビフォーアフター写真は、美容医療や審美歯科など特定の診療科にとって患者への訴求力が高い情報であり、患者からのニーズが高い情報でもあります。本記事で解説する3つのルールを守り、医療の適切な選択に資する情報として患者に提供して頂ければと思います。

原則:患者に誤認を与えるビフォーアフター写真は禁止

医療広告ガイドラインでは、原則として、"患者を誤認させるおそれがある" ビフォーアフター写真やイラストは広告が禁止されています。また、ビフォーのみ、アフターのみも同様です。一方、誤認させるおそれがないビフォーアフター写真は禁止されておらず、後述するルールに従うことで広告できるようになります。

(7) 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等

省令第1条の9第2号に規定する「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告をしてはならないこと」とは、いわゆるビフォーアフター写真等を意味するものであるが、個々の患者の状態等により当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療広告としては認められない。

医療広告ガイドライン 第3-1-(7)より

ルール1:限定解除要件を満たす

ビフォーアフター写真を掲載する際には、限定解除という要件を満たす必要があります。

治療効果に関する事項は広告可能事項ではないため、第5に定める要件を満たした限定解除の対象でない場合については、術前術後の写真等については広告できない。

医療広告ガイドライン 第3-1-(7)より

限定解除要件とは次に挙げる4要件(要件③と④は自由診療のみ)です。ビフォーアフター写真を掲載するためにはこれら4要件をすべて満たし、限定解除する必要があります。

限定解除要件

  1. 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
  2. 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
  3. 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
  4. 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

※ ③と④は自由診療の場合のみ

限定解除要件を満たすか(限定解除が可能か)の判定は、以下のフローチャートでチェックすることができます。

医療広告の限定解除が可能かを判定するフローチャート

限定解除の要件①では、患者が自ら求めて入手する広告媒体であることが求められています。医療機関のウェブサイトや患者の求めに応じて送るメルマガやパンフレットなどは要件①を満たすことができ、ビフォーアフター写真を広告することが可能です。

一方、ウェブ上の広告であってもリスティング広告やバナー広告は不特定多数が見聞きするため要件①を満たすことができません。同様の理由により、テレビCM、屋外看板、ポスティングチラシなども要件①を満たすことができず、ビフォーアフター写真を広告することができません。

要件②として電話番号やメールアドレスなどの問い合わせの明示が必須となります。

要件③と④は自由診療の場合のみ必須の併記項目です。(広告可能事項13あるいは15に該当する自由診療であっても、ビフォーアフター写真(治療効果)は広告可能事項ではないため限定解除する必要があります)

未承認医薬品や未承認医療機器を使った治療

薬機法の承認を受けていない医薬品または医療機器を用いた治療や、承認された効果・効能とは異なる目的で使用する適応外使用による治療のビフォーアフター写真を掲載する際には、限定解除要件として更に以下5項目を追加で併記する必要があります。

  • 未承認医薬品等であること
  • 入手経路等
  • 国内の承認医薬品等の有無
  • 諸外国における安全性等に係る情報
  • 医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の救済の対象外である旨

各項目の詳細は医療広告ガイドライン 第5-2およびQ&A 2-13の解説欄をご参照ください。

ルール2:写真の加工・修正・術前術後で条件の異なる撮影を行わない

医療広告には広告禁止事項が8項目あり、原則としていずれかに違反する内容は広告できません。ただし例外として、ルール1の限定解除要件を満たした場合は広告禁止事項の 5. 広告可能事項以外の広告 が免除されるので、残る7項目を遵守する必要があります。

広告禁止事項

  1. 虚偽広告
  2. 比較優良広告
  3. 誇大広告
  4. 公序良俗に反する広告
  5. 広告可能事項以外の広告 ←免除
  6. 治療内容や効果の体験談
  7. 誤認を与える術前術後写真
  8. その他

医療広告ガイドラインでは、以下の通り虚偽広告誇大広告になり得るケースの解説があります。これらを含め広告禁止7項目に抵触する内容は広告できません。

虚偽広告

効果があるように見せるために写真を加工や修正した場合は虚偽広告に該当し、禁止されています。

あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等については、虚偽広告として取り扱う。

医療広告ガイドライン 第3-1-(1)より

誇大広告

撮影条件や被写体の状態をビフォーアフターで変えることは誇大広告に該当し、禁止されています。

撮影条件や被写体の状態を変えるなどして撮影した術前術後の写真等をウェブサイトに掲載し、その効果又は有効性を強調することは、患者等を誤認させ、不当に誘引するおそれがあることから、そうした写真等については誇大広告として取り扱う。

医療広告ガイドライン 第3-1-(3)より

ルール3:症例ごとに治療内容、治療期間と回数、費用、主なリスクや副作用を記載する

ビフォーアフター写真には、症例ごとに次の4項目を併記する必要があります。

  • 治療内容
  • 治療期間と回数
  • 費用
  • 主なリスクや副作用

これら併記事項は限定解除の要件③および④と被りますが、限定解除要件は治療メニューに対して、一方ビフォーアフター写真は症例1つ1つに対して、それぞれ記載する必要があります。

最初に説明した通り、"患者に誤認を与えるおそれがある" ビフォーアフター写真は原則として禁止されていますが、これら4項目を症例ごとに掲載することで、規制上は患者が誤認するおそれがなくなり広告できるようになります。

術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合についてはこれに当たらない。

医療広告ガイドライン 第3-1-(7)より

掲載方法の具体例

医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書には、ビフォーアフター写真の具体的な掲載方法が解説されています。このように症例ごとに詳細な情報を併記する必要があります。左側は違反例、右側は改善例です。

(20)ビフォーアフター写真(省令禁止事項) - 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)
ウェブサイトの事例解説書(20)より

症例が複数ある場合には、各症例すべてに併記事項を記載する必要があります。

(21)複数のビフォーアフター写真(省令禁止事項) - 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)
ウェブサイトの事例解説書(21)より

併記事項を掲載する際の注意点

併記事項が医療機関にとって不都合な情報であっても、分かりやすい場所に読みやすい文字サイズで掲載する必要があります。

当該情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用してはならない。

医療広告ガイドライン 第3-1-(7)より

よくある質問

医療機関の広告としてビフォーアフター写真を掲載することは可能でしょうか?

本記事で解説している3つのルールを守った場合には掲載できるようになります。

折込チラシにビフォーアフター写真を掲載することは可能でしょうか?

掲載できません。

折込チラシは患者が自ら求めて入手する広告ではなく、そのような広告媒体は限定解除要件を満たすことができないため、ビフォーアフター写真を掲載することはできません。掲載した場合には、広告禁止事項の 5. 広告可能事項以外の広告に違反します。

折込チラシ以外にも、ポスティングチラシ・屋外看板・テレビCMなどの不特定多数を対象とした広告媒体ではビフォーアフター写真を掲載することができません。

バナー広告にビフォーアフター写真を掲載することは可能でしょうか?

掲載できません。

バナー広告は患者が自ら求めて入手する広告ではないため掲載できませんが、バナー広告にリンクされたページには掲載できます(Q&A 1-7より)。

医療広告ガイドラインに関するQ&Aを全解説 - Q&A 1-7 より

InstagramやTwitterなどのSNSにビフォーアフター写真を掲載することは可能でしょうか?

SNSは医療機関のウェブサイトとは異なり、一部掲載できない可能性があります。

ビフォーアフター写真を掲載するには、要件の1つとして患者が自ら求めて入手する情報であることが求められています。折込チラシ・屋外看板・CM・リスティング広告・バナー広告などはこの要件を満たせず、医療機関のウェブサイトは要件を満たすことができます。

医療広告ガイドラインやQ&AではSNSの扱いについて具体的な解説がないので、「患者が自ら求めて入手する情報」かどうかで判断する必要があります。例えば、フォローしていなくてもタイムライン上に流れてくる情報は、患者が自ら求めて入手する情報ではないと判断される可能性があります。一方、タップやクリックしなければ見えない情報は要件を満たせる可能性があります。

患者が自ら求めて入手する情報という要件を満たした場合に限り、本記事で解説している他のルールも遵守することで広告できるようになります。

なお、患者が医療機関からの依頼なくSNSやウェブサイトなどに投稿するのは規制対象外です。

2024.04.03 追記 2024年3月に公表されたウェブサイトの事例解説書(第4版)によって一部ルールが明確化されました。詳細は事例解説書 第2章 SNSにおける広告事例をご参照ください。

YouTubeやTikTokなどの動画でビフォーアフターを掲載することは可能でしょうか?

一部掲載できない可能性があります。

ビフォーアフターの規制は写真に限定していないので動画も同様に扱われると思われます。その上で、掲載する広告媒体は「患者が自ら求めて入手する情報」であることが必須の条件であり、そうでなければ掲載できません。

なお、患者が医療機関からの依頼なくSNSやウェブサイトなどに投稿するのは規制対象外です。

2024.04.03 追記 2024年3月に公表されたウェブサイトの事例解説書(第4版)によって一部ルールが明確化されました。詳細は事例解説書 第2章 動画における広告事例をご参照ください。

アフィリエイト広告としてビフォーアフター写真を掲載する場合のルールを教えてください。

アフィリエイト広告も本記事で解説している3つのルールを守る必要があります。

なお、本記事で解説しているビフォーアフター写真のルールは医療広告(医療機関の広告)を対象としており、医薬品や健康食品などの広告ルールとは異なります。

その上で、直接あるいは間接かに関わらず、医療機関からの依頼に基づいて掲載するアフィリエイト広告は医療広告規制の対象となります。

口コミサイトや医療機関のポータルサイトは規制対象なのでしょうか?

そのサイトが医療機関とは関わりのない第三者によって運営されている場合は規制対象外です。一方、医療機関が広告料等の費用負担の便宜を図って掲載を依頼しているなど、誘引性が認められる場合には規制対象となり、ルールを守る必要があります。

医療広告ガイドラインに関するQ&Aを全解説 - Q&A 2-9, 2-11 より

特定の人のみが閲覧可能なサイトやアプリは規制対象外でしょうか?

閲覧制限の有無は規制対象を判断する上で関係ありません。規制対象となる要件は誘引性(患者の受診を誘引する意図があること)と特定性(医療機関が特定可能であること)をいずれも満たした場合です。要件を満たす場合は本記事で解説した3つのルールを守る必要があります。

医療広告ガイドラインに関するQ&Aを全解説 - Q&A 1-10 より

美容医療や審美歯科など、特定の診療科のみに適用されるルールはあるのでしょうか?

医療広告規制では、特定の診療科だけに適用されるビフォーアフター写真の掲載ルールはありません。

ただし、保険診療と自由診療とでは限定解除の要件が異なります。詳しくは本記事のルール1をご参照ください。また、学会によっては自主規制として独自ルールを設けている場合もあるようです。

未承認医療機器や未承認医薬品を用いた治療、承認薬等の適応外使用での治療について、ビフォーアフターを掲載することは可能でしょうか?

可能です。ただし限定解除要件を満たすために以下の5項目を追加で併記する必要があります。

  • 未承認医薬品等であること
  • 入手経路等
  • 国内の承認医薬品等の有無
  • 諸外国における安全性等に係る情報
  • 医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の救済の対象外である旨

各項目の詳細は医療広告ガイドライン 第5-2およびQ&A 2-13の解説欄をご参照ください。

チャンピオン症例のみを選んで掲載することは可能でしょうか?

チャンピオン症例のみを掲載することで患者に誤認を与える場合には誇大広告として取り扱われる可能性があります。

マンガやイラストでビフォーアフターを掲載する場合のルールを教えて下さい。

マンガやイラストであっても、治療の内容や効果についてビフォーアフターを掲載する場合には写真と同じルールが適用されます。また、効果を保証するような表現は虚偽広告や誇大広告として取り扱われる可能性があります。

ビフォー写真のみ、アフター写真のみを掲載する場合のルールを教えて下さい。

ビフォー写真のみ、アフター写真のみでも、治療の内容や効果について広告する場合にはビフォーアフター写真の掲載と同じルールが適用されます。

医療広告ガイドラインに関するQ&Aを全解説 - Q&A 2-8 より

病気や症状の一般論的な解説として、症例写真を掲載する場合を教えて下さい。

一般論的な解説の症例写真であっても、基本的にはビフォーアフター写真の掲載と同じルールが適用されます。

ただし、自院では行わない治療内容の解説は誘引性(患者の受診を誘引する意図があること)がなく医療広告の規制対象外と判断される可能性があります。その場合にはビフォーアフター写真の掲載ルールは適用されません。

なお、自院で行う治療の範囲を明確にしなければ患者に誤認を与えるおそれがあり、誇大広告として取り扱われる可能性があります。

違反した場合に行政指導や罰則はありますか?

悪質な場合には開設許可の取り消しや刑事罰を受ける可能性があります。また、医療機関ネットパトロール事業により違反広告が見つかった場合にはデロイトトーマツコンサルティング合同会社から通知が届きます。

医療広告ガイドライン 第6-4-(2) より

なぜ限定解除要件を満たす必要があるのか?そもそも限定解除とは何ですか?

ビフォーアフター写真を含め治療効果に関する内容は広告可能事項ではないため、原則として広告できません。しかし、限定解除要件を満たすことで広告可能事項以外も広告できるようになる(つまり治療効果も広告できるようになる)という、例外的なルールがあるためです。

限定解除と広告可能事項の関係性については以下の入門 - 医療広告ガイドラインの全体像を解説記事で詳しく説明しているのでご参照ください。

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  • 本サービスに起因してラボコートが損害賠償責任を負う場合、依頼者が本サービスの対価として支払った金額を上限とさせていただきます

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